2025年7月26日(土)に、ピアニスト、ジャンミッシェル・キムのリサイタルが開催されます。
日本で生まれ、現在はフランスを拠点に活動されている彼ですが、今回のリサイタルは《ピアノ音楽の最高峰、ハンマークラヴィア を弾く》というテーマで、ベートーヴェンの傑作に挑みます。
今回は、そんなジャンミッシェル・キムさんに、ご自身の音楽観や『ハンマークラヴィア』に対する思いについてお話を伺いました。
日仏文化をつなぐ音楽と、本質へのまなざし

ジャンミッシェル・キムさんは、日本で生まれ、現在フランスを拠点に活動されています。
その上で、日仏それぞれの文化が、自分の音楽活動において意味を持つよう、常に意識していると言います。
「たとえば、一昨年には『夜明けの陶酔』というCDをリリースしました。これは、俳句や和歌といった日本のテクストに作曲されたフランス歌曲を集めたアルバムで、両国の芸術文化を融合させることをテーマにしています。」
また、ご自身の音楽を表現する上で大切にしているのは、どのような作品であっても、その作品の本質に迫ることだとも語ります。
「『本質』に迫るためには、それぞれの作曲家のスタイルだけでなく、同時代の他の芸術分野にも目を向けるようにしています。
そうすることで、作品の背後にある精神や美意識により深く近づけるのではないかと思っています。
新しい作品に取り組むたびに、自分自身の内面をより深く掘り下げていく、そんなイメージで日々研鑽を重ねています。」
魂を揺さぶる『ハンマークラヴィア』への挑戦
今回のリサイタルでは、ドビュッシーに始まり、シューベルト、プロコフィエフ、ベートーヴェンと並びますが、やはり一番の注目は『ハンマークラヴィア』でしょう。
ピアノ音楽の中でも特に規模が大きく、難易度も高い作品ですが、この曲を演奏する際の心構えや挑戦している点について伺いました。
「ベートーヴェンの作品には、それぞれ独自の世界と物語があります。その中でも『ハンマークラヴィア』は特にスケールが大きく、圧倒的な存在感を放っています。
この作品に取り組む上では、その感情の激しさと、全体の構造としての整合性の両方を大切にしています。
たとえば第3楽章では深い絶望が描かれますが、それが第4楽章の途方もないエネルギーを持つフーガによって、まるで生命力が再生するかのように昇華されていく。
この流れには、演奏していても心が大きく揺さぶられます。」
ジャンミッシェル・キムさんの奏でる『ハンマークラヴィア』を是非この夏、生で体感してみてください。
公演情報
ジャンミッシェル・キム ピアノ・リサイタル
ピアノ音楽の最高峰、ハンマークラヴィア を弾く

◆日時:2025年7月26日(土) 18:00開演
◆会場:TOPPANホール
◆プログラム:
・ドビュッシー:二つのアラベスク
・ドビュッシー:前奏曲集から数曲
・シューベルト:即興曲ヘ短調 作品142-1
・プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第3番 作品28
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番 作品106「ハンマークラヴィア」
◆チケット窓口:teketにて受付中