クラシック音楽の名曲である、スメタナ「わが祖国」の名盤を3つご紹介させていただきます。
言わずとしれたスメタナの名曲ですが、それ故にこの曲のCDは、王道からレア物まで数多く存在します。
今回は、その中でも「とりあえずこれを買っておけば間違いない!」という王道の名盤をセレクトしました。
個性の強い演奏や、独特の解釈がされた演奏ももちろん聴いていて面白いですが、やはりその楽しみを理解するには、誰もが名盤だと言えるものを聴かないと、その奥深さは体感できないと思います。
スメタナ「わが祖国」のCDを買いたいけれど、どれが良いのか分からない…
という、これから初めて名盤を選びたいという方向けの内容となっています。
名盤を数多く紹介しているサイトだと、結局どれが良いのか分からないことが多いため、このサイトでは、まずこれを買うべきというディスクを3点まで厳選しています。
まず買うべき名盤3選
1.ノイマン(指揮)/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
オススメ度 ★★★★★
ノイマンは3度この作品を録音しているが、これは第2回目の録音。後のライヴ盤に比べてより格調が高く彫りの深い表現が特徴。
- スメタナ作品をチェコ・フィルが演奏すると、本場らしいローカルな味を期待するが、クセのない、美しく正統派な心地良さが流れる。
- 水彩画のような瑞々しく透明感のある響きは、チェコ・フィルにしかできないボヘミアの豊かさを感じさせる。
- 流れるような空気の中にも、たくましさのある芯の入った演奏。
- チェコ・フィルらしい、自然豊かな情感の込められた響きがこれでもかと堪能できる。特に弦楽器の響きはこの上ない輝かしさ。
- この曲のもつスケールの大きさや、チェコの雰囲気を感じさせる表情豊かな響きをじっくりと味わいたい人向けの演奏。
この曲不動の名盤は、ノイマン×チェコ・フィルで文句なしでしょう。本場ものは何も味付けせずとも、その土地の香りを漂わせてくれます。
2.クーベリック(指揮)/ボストン交響楽団
オススメ度 ★★★★☆
クーベリックはこの曲を得意とし、本作含めて5種類の全曲盤を録音しているが、その中でも録音と演奏が理想的なバランスを保っている名演。
- アメリカのオケだとハツラツさが期待されるが、叙情的で豊かなサウンドを響かせるギャップがポイント。
- 「ブルタヴァ」の終盤は畳み掛けるような演奏をする盤もあるが、本作は終始抑えた演奏で、朗らかなブルタヴァの流れを想像させる。
- ボストン交響楽団の絶妙な響きに、クーベリックの繊細な解釈を乗せているようで、よりいぶし銀な音楽に仕上がっている。
- クーベリックの解釈には安定感があり、テンポも終始落ち着いているため安心して聴ける。
- 哀愁感がありつつもスケールは大きく、この曲の録音を重ねていたクーべリック自身の思い入れを感じさせる。
クーベリック盤はシカゴ響やボストン響などいくつかのオケと録音していますが、その中でも人気が高いのが本作です。
3.アンチェル(指揮)/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
オススメ度 ★★★☆☆
アンチェルのおおらかさを湛えたような演奏は、聴衆の愛国心を一層鼓舞する熱気を帯びたものになっている。
- 同じチェコ・フィルのノイマン盤と比較すると、アンチェル盤は深みのある渋い響き。加えてノイマン盤にはない劇的さもある。
- 本場ものでありながらも郷土色を前面に出しすぎず、丁寧で芯のある演奏が特徴。
- チェコ・フィルの音色は言わずもがな透明感があり、ノイマン盤と比較すると、豊かさの表現力にも違いが聴き取れる。
- チェコ人だけでなく、すべての人の愛国心を駆り立てるような感動的な演奏。
ノイマンやクーベリック盤と比較すると陰に隠れがちなアンチェル盤も立派な名盤。他と比較すると、オケの深みは一級品。何も繕わず豊かな祖国の雰囲気を醸し出します。
まとめ
- Qスメタナ:連作交響詩「わが祖国」の名盤は?
- A
- ノイマン(指揮)/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
- クーベリック(指揮)/ボストン交響楽団
- アンチェル(指揮)/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
スメタナの音楽を聴くなら、やはりチェコ・フィル!中でもノイマン盤は不動の人気を誇ります。
対してアンチェル盤も有名でしばしばノイマンと比較されがちですが、個人的にノイマン盤は軽くて繊細な響き、アンチェル盤は深くておおらかな響き、だと思っています。是非この2つを聴き比べてみてください。
一方でクーベリックはこの曲を得意としており、多くのオーケストラで名演を残しています。今回はボストン交響楽団を紹介しましたが、シカゴ交響楽団やチェコ・フィルとの共演も必聴です。