クラシック音楽の名曲である、シューマン「ピアノ協奏曲」の名盤を3つご紹介させていただきます。
言わずとしれたシューマンの名曲ですが、それ故にこの曲のCDは、王道からレア物まで数多く存在します。
今回は、その中でも「とりあえずこれを買っておけば間違いない!」という王道の名盤をセレクトしました。
個性の強い演奏や、独特の解釈がされた演奏ももちろん聴いていて面白いですが、やはりその楽しみを理解するには、誰もが名盤だと言えるものを聴かないと、その奥深さは体感できないと思います。
シューマン「ピアノ協奏曲」のCDを買いたいけれど、どれが良いのか分からない…
という、これから初めて名盤を選びたいという方向けの内容となっています。
名盤を数多く紹介しているサイトだと、結局どれが良いのか分からないことが多いため、このサイトでは、まずこれを買うべきというディスクを3点まで厳選しています。
まず買うべき名盤3選
1.ツィメルマン(p)/カラヤン(指揮)/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
オススメ度 ★★★★★
ツィメルマンの明快なタッチが紡ぎ出す美しい音色と、しなやかな感性による表現。
- 若きツィメルマンだが、既に堂々たる演奏。カラヤン率いるベルリン・フィルともよく馴染んでいて安心して聴ける一枚。
- シューマンらしい歌心ある音楽を、ツィメルマンもオケも優美に奏でている。
- 曲の細部をしっかり構築した上で丁寧に演奏する姿勢が、ピアノとオケ両方から感じられる。
- 感情的にならず、冷静に丁寧に演奏するツィメルマンの弾き方は、若きこの当時からしっかりと固まっていた。
- オケはカラヤンではなくツィメルマンに合わせて弾いたという曰く付きの演奏。
若き時代のツィメルマンによるシューマンは、この頃から巧みに歌い上げつつも、丁寧な解釈で冷静に弾くスタイルが確立されており、安心して聴ける一枚です。
2.ルプー(p)/プレヴィン(指揮)/ロンドン交響楽団
オススメ度 ★★★★☆
ラドゥ・ルプーの美しく繊細なピアノが際立つ1973年録音盤。
- シューマンらしい叙情的な音楽をたっぷりと歌い上げている名演。
- 山の中を流れる清流のようにサラサラと流れるような、透明感ある心地よさ。
- 繊細で美しい音を出すルプーだからこそ相性の良い曲で、彼の実力が際立っている。
- 透明で落ち着きがある分、情熱的なメロディにはやや物足りなさを感じる。
シューマンの音楽に求められる優しい歌心と表現力では、ルプー盤が一番聴いていて気持ちが良いです。
3.バックハウス(p)/ヴァント(指揮)/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
オススメ度 ★★★★☆
枠組みのしっかりした、バックハウスによる骨太な演奏。
- 幻想に浸るような透明感のない、現実の中の思い出を呼び起こすようなリアリティある太い演奏が特徴。
- 背景にある彼の人生を語っているような芯があり、淡々としない深みある演奏で新鮮に聴こえる。
- バックハウスのテクニックも遺憾なく発揮されており、強すぎず優美な表現力も魅力的。
- ヴァントはこの収録でウィーン・フィルといろいろあって溝が出来たと言われているが、デッカ唯一となったこの録音の伴奏はパーフェクトと言って良い。
夢心地ではなく、現実の回想をしているかのようなバックハウスの演奏は、彼しかできないメッセージ性もあって心に訴えかけられる気がします。
まとめ
- Qシューマン:ピアノ協奏曲の名盤は?
- A
- ツィメルマン(p)/カラヤン(指揮)/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- ルプー(p)/プレヴィン(指揮)/ロンドン交響楽団
- バックハウス(p)/ヴァント(指揮)/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
名盤として初めて買うのであれば、ツィメルマン盤が最適かと思います。
日本でも人気の高いツィメルマンが、18歳にしてショパン国際ピアノコンクールで優勝した数年後に録音された本盤は、既に冷静で叙情的な表現を奏でる、彼のスタイルが据わっているように感じられるます。
対抗馬として挙げたルプー盤とバックハウス盤は、それぞれ緻密で流れるような演奏をしつつも、背景としてイメージするものが、幻想か現実かという違いが感じられ、ここを比較して聴いてみると面白いのではないかと思います。