オーケストラはたくさんの楽器で構成されていますが、楽器によって給料が高い・低いは存在するのでしょうか?
弦楽器はほぼずっと弾きっぱなしで大変そう…結構給料も高いのかな
と思う人もいるのではないでしょうか。
また、中学・高校の吹奏楽部では、楽器の人気や知名度によって“楽器カースト”なるものが存在していますが、給料の面でもカースト的なものが存在するのか気になる人もいるかもしれません。
本記事では、オーケストラの団員の給料は、楽器別で異なるのかについて解説していきたいと思います。
楽器別に給料は変わるのか
結論:楽器別に給料が変わることはない
結論から言うと、基本的にオーケストラの団員の給料は、楽器別に変わることはありません。
曲の中で一番演奏しているヴァイオリン奏者も、一発のシンバルに人生を捧げる打楽器奏者も、同じ給料となります。
日本のオーケストラは、一般的な会社員と同じく固定給制度となっており、正団員ならばどの楽器でも同じ金額が基本給となります。
近年では、オーケストラ業界も終身雇用制度が見直される他、数年間の契約団員のみで雇用する団体も出てきており、雇用形態も様々になっています。
パート内では給料が変わってくる
「ヴァイオリン、フルート、トランペット…」と、横で見た時には給料が変わることはないと解説しましたが、「ヴァイオリンの中だけ」と、縦で見た時には給料が変わってきます。いわゆる、優遇される奏者です。
コンサートマスターや首席奏者は、パート内のリーダーですから、基本給にプラスして手当も支給されるため、他の奏者(tutti奏者)よりは給料が高くなります(リーダーが新人と同じ給料なんて、普通ないですもんね)。
一方のtutti奏者でも、勤続年数によって少しずつ手当が増えていく制度にしているオーケストラが多いため、パート内で見た給料の序列は、一般的な会社員と同じ感じになると思います。
客演コンマス、客演首席といった契約をしている奏者の場合、正団員とは異なる契約(給与・出演回数)をしている場合がほとんどです。
簡単な楽器なんて存在しない
ヴァイオリンはあんなに忙しそうなのに、シンバルはたった一発だけ。
シンバルは簡単なのに同じ給料なんだ〜
と思う人に申し上げたいのは、そもそもオーケストラに簡単な楽器は存在しないということです。
確かに、ヴァイオリンは何ページにも渡る真っ黒な楽譜をゴリゴリ弾く一方、シンバルは一曲の中で音符一つだけという場合もあり、見たり聴いたりする側からすればそう感じるかもしれません。
しかし、シンバル奏者(というより打楽器奏者)は、そのシンバル一発に音楽家としての人生を捧げているのです。シンバル一発決められなかったら、プロ失格なのです。
プロのオーケストラの奏者は全員、プロとしてお金をもらい、お金を払ってお客様が来てくれている。そういった目には見えない精神的なプレッシャーを感じながら、本番のステージに立っています。
- 弦楽器:ソロは少ないが、楽譜的には一番忙しい。
- 管楽器:全てがソロパート。
- 打楽器:たった一発に人生がかかっている。
それぞれのパートが、それぞれの技術や精神的なプレッシャーを抱えて、同じ本番のステージに立っていますので、どのパートが簡単ということは決してありません。
つまり、楽器だけで給料の上下は決められないのです。
まとめ
- オーケストラの団員の給料は、楽器別に変わることはない。
- コンサートマスターや首席奏者は、基本給とは別に手当が支給される。
- 勤続年数などで少しずつ昇給するなど、一般的な会社と同じ仕組み。
- そもそもオーケストラに簡単なパートはない。
「楽器ごとに給料が変わるのでは?」と考える人の多くは、オーケストラの演奏を眺めながら、忙しそうなパート、暇そうなパートを見て思うのではないでしょうか。
楽器によって給料は異なることはないというのが一番の結論ですが、筆者としては、そもそも暇そう・楽そうなパートはオーケストラに存在しないということを伝えたいです。