当サイトで2023年12月〜2024年2月の期間、アンケート形式で「大指揮者になりそうな若手指揮者」を募集しました。
結果的に、想像を超える多くのご投票をいただきました。皆様ありがとうございました!
本記事では、そのアンケートで多くの方々から名前の挙がった若手指揮者や、管理人が個人的に注目している若手指揮者の中から、10人を厳選して発表したいと思います。
2011年にグラモフォン誌で特集された「大指揮者になりそうな10人の若手指揮者」の最新版として、是非ご参考にしてください。
日本の女性指揮者ランキングは、コチラの記事でご紹介しています。
大指揮者になりそうな10人の若手指揮者
サントゥ=マティアス・ロウヴァリ
- 出身:フィンランド
- 年齢:39歳(1985年生まれ)
近年、俊英が次々と現れるフィンランド出身の指揮者から、まずはサントゥ=マティアス・ロウヴァリ。何と言っても髪型が特徴的。
28歳となる2013年より、コペンハーゲン・フィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者、タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督兼首席指揮者に就任したことで、一気に頭角を現します。
その後、エーテボリ交響楽団の首席指揮者を2017年から務め、フィルハーモニア管弦楽団とは首席客演指揮者を経て、2020年より首席指揮者に就任しています。
2025年に、フィルハーモニア管弦楽団を率いて来日します。
日本では、東京交響楽団がいち早く彼の才能を見抜き、27歳の若さで招聘して彼の日本デビューを飾っています。
ちなみにこの時は、ゲネプロ後にソリストが体調不良でキャンセルし、急遽ソリスト・曲目が変更になりましたが、難なく対応したことでも評価されています。
クラウス・マケラ
- 出身:フィンランド
- 年齢:28歳(1996年生まれ)
アンケートでは圧倒的にマケラの名前が占めました。
10代の頃から指揮者として注目を集めていましたが、チェリストとしてもフィンランドの主要オケと共演した実績があります。
2018年にスウェーデン放送交響楽団の首席客演指揮者に就任すると、そこから怒涛のマケラ・ニュースが相次ぎます。
2020年はオスロ・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者に就任すると、同年6月にパリ管弦楽団次期音楽監督に決定。
そして2022年には、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団首席指揮者に2027年から就任されることが発表されました。
日本では2018年に東京都交響楽団を指揮してデビューしましたが、この公演は衝撃的なインパクトを与えました。
2023年にオスロ・フィルハーモニー管弦楽団を率いて来日。2025年秋には、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を率いて来日予定です。
タルモ・ペルトコスキ
- 出身:フィンランド
- 年齢:24歳(2000年生まれ)
マケラより若いフィンランド出身の指揮者といえば、タルモ・ペルトコスキ。なんと2000年生まれ(!)
まだ学生として過ごしていそうなインテリ感のある彼は、14歳の時にヨルマ・パヌラに師事し、2020年にフィンランド放送交響楽団を指揮してデビューしました。
2022年よりドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者に就任すると、2023年からはロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団の常任客演指揮者、ラトビア国立交響楽団の音楽監督兼芸術監督を務めています。
さらに2024年より、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の音楽監督に就任するなど、ここ3年間では急速にポスト就任が相次いでいる期待の俊英です。改めて、まだ24歳です。
2023年秋にグラモフォンと契約したペルトコスキは、2025年6月、N響定期に登壇します。
ペトル・ポペルカ
- 出身:チェコ
- 年齢:38歳(1986年生まれ)
チェコの俊英といえばペトル・ポペルカ。もともとはコントラバス奏者として、ドレスデン・シュターツカペレ(ザクセン州立歌劇場管弦楽団)の副首席奏者として、2010年〜2019年まで活動しました。
その後、指揮者に転向し、ノルウェー放送管弦楽団首席指揮者、ヤナーチェク・フィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者、プラハ放送交響楽団首席指揮者・音楽監督を務めます。
直近のニュースでは、ウィーン交響楽団の首席指揮者に2024年から就任する他、2025年2月にN響定期に登壇します。
ラハフ・シャニ
- 出身:イスラエル
- 年齢:35歳(1989年生まれ)
ズービン・メータが50年間率いたイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団音楽監督を2020年より引き継ぐ、期待のイスラエル人指揮者、ラハフ・シャニ。
ピアニストとしても活動するシャニは、18歳の時にズービン・メータが指揮するイスラエル・フィルと協奏曲で共演して以来、副指揮者としても同オケと長い付き合いがあり、満を持しての音楽監督就任でした。
また、ヤニック・ネゼ=セガンの後任として、2018年よりロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者も務めています。この時も、史上最年少での就任ということで話題を集めました。
日本では2016年に読響を指揮して初来日、2022年にはPMF首席指揮者として参加しています。
昨今の情勢を踏まえ、2023年に予定されていたイスラエル・フィルとの来日公演は中止になりました。
(追記)2025年6月に、ロッテルダム・フィルを率いて来日予定です。
カーチュン・ウォン
- 出身:シンガポール
- 年齢:38歳(1986年生まれ)
「指揮者は魔術師」という印象が強いのがカーチュン・ウォン。上の動画は特に印象的です。
2016年のグスタフ・マーラー国際指揮者コンクールで優勝したことで頭角を現し、2022年8月までニュルンベルク交響楽団の首席指揮者を務めました。
また、彼は日本ではお馴染み。2021年より日本フィルハーモニー交響楽団の首席客演指揮者に就任すると、2023年9月からは首席指揮者を務めています。
また、2019年にはシンガポール出身の芸術家としては初めて、ドイツ連邦大統領より功労勲章を与えられたこともニュースになりました。
ベン・グラスバーグ
- 出身:イギリス
- 年齢:30歳(1994年生まれ)
「指揮者の登竜門」とも言われるブザンソン国際指揮者コンクールの優勝者の中から、まずはベン・グラスバーグ。第55回(2017年)の優勝者です。
23歳にしてこのコンクールを制した彼は、ルーアン・ノルマンディー歌劇場の音楽監督、ウィーン・フォルクスオーパーの首席客演指揮者として活躍。
そして2024年1月より、オメール・メイア・ヴェルバーの後任として、ウィーン・フォルクスオーパーの音楽監督に就任しました。
ブザンソンの優勝後、着実にポストに就いて活躍し続ける期待の俊英です。
沖澤のどか
- 出身:日本
- 年齢:37歳(1987年生まれ)
グラスバーグに次ぐ、第56回のブザンソン国際指揮者コンクールの覇者こそ、我らが日本の沖澤のどか。アンケートでは、日本人指揮者の中で最も多くの方から名前が挙がりました。
ブザンソンの前年には東京国際音楽コンクール<指揮>での優勝で注目を集めており、ブザンソン優勝後、2020年よりキリル・ペトレンコのアシスタントを務め、2022年にはペトレンコの代役としてベルリン・フィルを指揮しました。
そして2023年より京都市交響楽団の常任指揮者に就任。海外オケでの客演も引っ張りだこな彼女の今後に期待が集まります。
日本の女性指揮者ランキングは、コチラの記事でご紹介しています。
ミルガ・グラジニーテ=ティーラ
- 出身:リトアニア
- 年齢:38歳(1986年生まれ)
最後は沖澤のどかと同じく女性指揮者の中から、期待の2名をピックアップ。まずはリトアニア出身のミルガ・グラジニーテ=ティーラ。
女性指揮者としては史上初めて、ドイツ・グラモフォンと専属契約を結んだ彼女は、2015年からザルツブルク州立劇場の音楽監督、バーミンガム市交響楽団の首席客演指揮者に就任。
2016年に、アンドリス・ネルソンスの後任としてバーミンガム市交響楽団の音楽監督に就任。山田和樹が就任する2023年まで、このポストを務めました。
バーミンガム市交響楽団は、ラトルやネルソンスら大指揮者を輩出するオケとして知られており、29歳にして音楽監督に抜擢された点から、非常に注目度が高いです。そんな彼女の後を継ぐ山田和樹にも注目。
(追記)2025年、山田和樹はベルリン・フィル、ミルガ・グラジニーテ=ティーラはウィーン・フィルにそれぞれデビューすることが発表されました。ウィーン・フィルの定期に女性指揮者が登場するのは史上初の快挙です。
マリー・ジャコ
- 出身:フランス
- 年齢:34歳(1990年生まれ)
最後にご紹介するのは、フランス出身のマリー・ジャコ。2024年3月、読響を指揮しました。(2021年の来日予定でしたが、コロナ禍でスキップされ、待望の来日。)
2022年、デンマーク王立管弦楽団が、音楽監督としては女性指揮者として初めて、ジャコを2024年から次期音楽監督として任命。
すると翌年には、こちらも女性指揮者としては初めて、ウィーン交響楽団の次期首席客演指揮者に任命されます。
さらに、つい最近2024年1月には、WDR交響楽団がまたまた女性指揮者としては初めて、2026年からの次期首席指揮者に任命。
若手の女性指揮者の中では、前述の沖澤のどか、ミルガ・グラジニーテ=ティーラ、そしてマリー・ジャコの3人を特に注目しています。