クラシック音楽の名曲である、J.S.バッハ「無伴奏チェロ組曲」の名盤を3つご紹介させていただきます。
言わずとしれたJ.S.バッハの名曲ですが、それ故にこの曲のCDは、王道からレア物まで数多く存在します。
今回は、その中でも「とりあえずこれを買っておけば間違いない!」という王道の名盤をセレクトしました。
個性の強い演奏や、独特の解釈がされた演奏ももちろん聴いていて面白いですが、やはりその楽しみを理解するには、誰もが名盤だと言えるものを聴かないと、その奥深さは体感できないと思います。
J.S.バッハ「無伴奏チェロ組曲」のCDを買いたいけれど、どれが良いのか分からない…
という、これから初めて名盤を選びたいという方向けの内容となっています。
名盤を数多く紹介しているサイトだと、結局どれが良いのか分からないことが多いため、このサイトでは、まずこれを買うべきというディスクを3点まで厳選しています。
まず買うべき名盤3選
1.ヨーヨー・マ
オススメ度 ★★★★★
ヨーヨー・マは1982年に最初の全曲録音をしていますが、本作は12年ぶりに挑んだ2度目の全曲録音。
- 12年ぶりの録音となった本作は、前盤よりいくらかドラマティックな印象。しかしながら、あからさま演出は感じられず好感が持てる。
- のびのびと柔らかく、神秘的な優しさを感じられ、まさにヨーヨー・マといった演奏。
- 一つのチェロだけとは思えない重層な響きも豊かに感じられ、確固たる荘厳さがきらめいており味わい深い。
- 流れるようにシンプルに演奏しているようで、実はポイントの部分はしっかりと聴かせるような歌い方で、新しい発見も見いだせる。
- ヨーヨー・マの謙虚な人柄が垣間見えるような丁寧な仕上がりで、とにかく安心して聴ける一枚。
この曲を聴く時に、まずはヨーヨー・マという人も多いでしょう。丁寧な演奏ですので、最初に聴くにはオススメの一枚です。
2.ヤーノシュ・シュタルケル
オススメ度 ★★★★★
ヤーノシュ・シュタルケルによる、1992年録音盤。
- ヨーヨー・マとは対照的に、感情が強く込められた演奏。対比して聴くにオススメの名盤。
- 湧き出る躍動感ある演奏から、爽やかな喜びと哀しみを重ね合いながら弾いており、心にぐっとくる印象。
- 艶やかなのびのびとした演奏で、シュタルケルはチェロのもつ深みをたっぷりと引き出しているように感じられる。
- 円熟みのある響きで、巨匠だからこそ響かせられるJ.S.バッハの音楽を存分に楽しめる。
- 音質も非常に素晴らしく、まるでライヴを聴いているような感覚になる。ところどころ、楽譜をめくる音まで聴こえてくる。
シュタルケル盤のポイントは、感情たっぷりに奏であげているところです。喜怒哀楽が楽しめる躍動感ある演奏は、聴き応えがあります。
3.ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ
オススメ度 ★★★★☆
ロストロポーヴィチによる、1991年録音盤。
- 第一番プレリュードの高速演奏でやや拍子抜けするが(笑)、ゆったりと聴かせる曲もあって楽しめる一枚。
- 表面的な演出は一切なく、円熟味をもった深さや温厚さが味わえる赤ワインのような演奏。
- 自然体で聴きやすいことはもちろん、立体的でまるで重奏を聴いているような感覚に陥る。
- ロストロポーヴィチだからこそ奏でられる渋みある演奏も特徴的。広がりある響きで心を豊かにさせてくれる。
ロストロポーヴィチの演奏も、巨匠が到達した深みや渋みが堪能できる演奏。第一番プレリュードのテンポは速いので、じっくり聴きたい方は要注意。
まとめ
- QJ.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲の名盤は?
- A
- ヨーヨー・マ
- ヤーノシュ・シュタルケル
- ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ
数多くの名チェリストが録音を残している本作ですが、まずはヨーヨー・マとシュタルケルの聴き比べがオススメです。
何も繕わず丁寧に神秘的な演奏を響かせるヨーヨー・マと、感情たっぷりに歌い上げるシュタルケルをそれぞれ聴いて、好みのタイプを見つけてみてください。
また、どの盤にも共通しているのが、巨匠だからこそ奏でられる渋みある豊かなチェロの響きです。それが自然と、まるでオーケストラを聴いているかのような重層な響きに聴こえてきます。
やっぱりこの曲は、デビューしたばかりの若手より、巨匠の演奏を聴くべきかなと思っています。