ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は全16曲あり、クラシック音楽の中でも特に高く評価され、愛され続けています。
しかし、16曲ある弦楽四重奏曲の中から、「まずどれを聴けば良いのか分からない」「どれが人気なのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の中から、特に人気の高い作品をランキング形式で5曲ご紹介します!
あなたの心に残る、名曲の発見につながってもらえれば幸いです。
ベートーヴェン弦楽四重奏ランキング
第5位:弦楽四重奏曲第10番 変ホ長調 作品74「ハープ」
1809年に作曲されたこの曲には、第1楽章でハープのような弦をはじく音(ピッツィカート)があちこちに出てくるため、「ハープ」という愛称が付けられました。
ベートーヴェンは、これ以前に「ラズモフスキー弦楽四重奏曲」という大作を3曲作りましたが、その後はもっと気軽で、ロマンチックな気分で曲を書くようになりました。
この「ハープ」も、その自由な感情をたたえた作品の一つです。
楽しい気分になりたい時や、リラックスしたい時にぴったりな曲です。
第4位:弦楽四重奏曲第13番 変ロ長調 作品130
この第13番は1825年11月に完成され、翌年3月にシュパンツィヒ四重奏団によって初演されました。
作曲順では14番目にあたり、第15番の次に書かれました。
この曲は6つの楽章からなり、当初の終楽章には「大フーガ」が含まれており、全体の演奏時間は約50分に及びました。
ベートーヴェンは後期作品でしばしばフーガ形式を好み、この曲だけでなくピアノソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」、交響曲第9番、ピアノソナタ第31番でも用いています。
初演当時、「大フーガ」は非常に難解とされ、評価が二分。友人や出版社の助言を受け、ベートーヴェンは「大フーガ」を別にし、新たに軽快な終楽章を書き直しました。
現代では、「大フーガ」の評価も高まり、元の形で終楽章として演奏されたり、新旧のフィナーレを両方取り上げたりすることもあります。
この曲の多彩な楽章や、ベートーヴェンの革新性を感じられる曲だと思います。
第3位:弦楽四重奏曲第15番 イ短調 作品132
1825年に作曲された第15番は、同年11月6日にシュパンツィヒ四重奏団によって初演されています。
この曲は5つの楽章から成り、第12番、第13番と同様に、ロシア貴族のニコライ・ガリツィンに献呈されました。
フランスの作家マルセル・プルーストにとって、この曲の第3楽章と第5楽章は特別なものでした。
特に第5楽章は、プルーストが1918年2月の手紙で「私が音楽で知るうち最も美しいもの」と絶賛しています。
この曲は、ベートーヴェンの深い感情と精神性を感じることができる素晴らしい作品です。
特に第3楽章の祈りのような旋律と、第5楽章の美しさを楽しみながら、ぜひ聴いてみてください。
第2位:弦楽四重奏曲第9番 ハ長調 作品59-3「ラズモフスキー第3番」
「ラズモフスキー第3番」は、1806年に作曲されました。
ロシアの貴族ラズモフスキー伯爵の依頼で作られた3曲の弦楽四重奏曲のうちの1曲で、「ラズモフスキー四重奏曲」として知られています。
これらの3曲は、ベートーヴェンの初期作品である作品18の6曲とは大きく異なり、スケールや作風がより壮大で革新的です。
特にこの第3番は、形式の拡大や主題の徹底した展開、ロシア民謡の採用などが特徴で、もはや室内楽の枠を超えた交響的な音世界を表現しています。
この曲は、前の2曲のフィナーレともいえる堂々とした構成と曲想を持ち、フーガ的な楽章で全曲を締めくくります。
その斬新さゆえに、当時の人々には受け入れられませんでしたが、今ではベートーヴェンの革新性を感じることができる名作として評価されていますので、その壮大な音楽世界をぜひ感じてみてください。
第1位:弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 作品131
第13番、第15番と並ぶベートーヴェン最晩年の傑作の一つで、自発的に作曲されたため、特に高い芸術性を持っています。
この曲は、ベートーヴェンが友人に「創造力は昔よりも衰えていない」と語ったように、彼自身も満足していた作品です。
7つの楽章からなり、全てが連続して演奏されるという独特の構成を持ちます。
シューベルトもこの曲を聴いて「この後でわれわれに何が書けるというのだ?」と感嘆したと言われています。
甥カールの属していた連隊の中将ヨーゼフ・フォン・シュトゥッターハイム男爵に献呈されたこの作品は、ベートーヴェンの創造力と情熱が詰まった最高傑作!
まとめ
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の人気ランキングをご紹介しました。
- 第5位:弦楽四重奏曲第10番 変ホ長調 作品74「ハープ」
- 第4位:弦楽四重奏曲第13番 変ロ長調 作品130
- 第3位:弦楽四重奏曲第15番 イ短調 作品132
- 第2位:弦楽四重奏曲第9番 ハ長調 作品59-3「ラズモフスキー第3番」
- 第1位:弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 作品131
第5位の第10番「ハープ」は、軽快なピッツィカートの使用が特徴的。ベートーヴェンのロマンチックな一面が感じられるこの作品は、初心者にも親しみやすい一曲です。
第4位の第13番は、当初は「大フーガ」を含む6楽章構成でした。ベートーヴェン自身がこの曲に満足していたことからも、その芸術性の高さが伺えます。
第3位の第15番は、特に第3楽章「リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」が、多くのリスナーに感動を与え続けています。ベートーヴェンの精神的な深みが詰まった作品です。
第2位の第9番「ラズモフスキー第3番」は壮大なスケールの作品で、フーガ的な楽章で締めくくられています。ベートーヴェンの革新性が強く感じられる一曲です。
第1位の第14番は、7つの楽章が連続して演奏される独特の構成を持ち、シューベルトが「この後でわれわれに何が書けるというのだ?」と述べるほどの影響力を持つ作品です。ベートーヴェンの創造力と情熱が詰まった最高傑作と言えるでしょう。
ベートーヴェンの音楽的な進化と多様性が感じられる弦楽四重奏曲たち。
本記事で紹介した5曲以外も含めて、彼の音楽に対する革新性と深い感情表現を探求していくのも面白いと思います。