私が小学校低学年の時にカッコいいな〜って思ったのは、音楽の先生でした。
式典や毎月の集会の最後に、ステージ横のグランドピアノで奏でる校歌の伴奏がとにかくカッコよくて、校歌を歌いながらその姿を見ていました。
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生まれてはじめて「ピアノで弾きたい!」と思った曲が校歌でした(笑)まあ、素人には弾けませんが。
当時は「音楽の先生って何でも弾けるしカッコいい!」と思っていましたが、次第にプロのピアニストを知り始め、リサイタルに足を運び超絶技巧を目の当たりにし、ピアノ協奏曲で世界のオーケストラと共演しているアーティストたちを知り始めます。
そうなってくると「音楽の先生って、実際はどれくらいのレベルなんだろう」と、リアルなことを感じてしまうものです。
そこで本記事では、音楽の先生に必要なピアノのレベルについて解説していきます。
もちろん、プロ並みに弾ける先生もいらっしゃいますし、一概に音楽の先生は全員このレベルというわけではありません。
本記事では「少なくともこのレベルがないと、音楽の先生にはなれないよ」というスタンスで紹介していきたいと思います。
音大入学に必要なピアノのレベルはコチラの記事で解説しています。
グランドピアノが必要なレベルについては、コチラの記事で解説しています。
音楽の先生になるために必要なピアノのレベルは?
はじめに、結論をまとめます。
- 中学の音楽教諭は教育学部出身、高校の音楽教諭は音楽大学出身が多い傾向。
- 高校の音楽教諭は「音楽家>教育者」の意識になりやすいため、中学の音楽教諭よりピアノのレベルは高い傾向。
- 教員採用試験のピアノ実技の難易度は、中高ともに「基礎>技術」を重視するため難しくない。
- 中高ともに簡単な曲でも合格できるため、基礎さえ身につければ音楽の先生になれる。
中学校の音楽の先生は、教育学部出身が多い
音楽専攻となる教員免許は中学・高校になりますが、それぞれに向いている性格や出身大学があります。
はじめに、中学校の音楽の先生は、教育学部出身が多い傾向です。その理由は、中学校の場合、3年間必修科目であるためです。
音楽に興味がない、音痴だから嫌だと言っても、絶対に履修しなければなりませんので、担当するクラスの生徒全員が音楽大好きというわけではありません。
歌うのが大好き、ピアノが得意という生徒もいれば、口パクで歌っている、話を聞かない生徒も当然います。
また、中学校の場合、学習指導要領では歌うことや演奏することなど、実技の面が重視されています。
そのため、先生本人の技術はもちろんですが、歌うことに自信のない生徒や、そもそも音楽に興味のない生徒に対してもスキルを身に着けさせる指導力が求められます。
つまり、教育に対しての関心が強く、様々なタイプの生徒に対して指導できるスキルがある人が中学の音楽の先生に向いていると言えるため、教育学部出身の人は中学の音楽の先生を目指す傾向にあります。
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音楽の知識を深く教えたいというより、子どもたちに音楽に興味を持ってもらいたいという教育者タイプは、中学校向きだと思います。
高校の音楽の先生は、音楽大学出身が多い
一方で、高校の音楽の先生は、音楽大学出身者が多い傾向です。
中学校の音楽が必修科目であるのに対して、高校の音楽は選択必修科目になるため、全く音楽に興味がない人が履修することはほとんどありません。
また、学習指導要領を見てみても、中学校は比較的音楽に対する基礎を教えることが重視されますが、高校は音楽史や音楽理論など、より専門的なことを教えることになりますので、教育者より音楽家としての傾向が強くなります。
ちなみに、私の出身高校の場合、選択必修科目になることでクラス単位での履修生徒が少なくなるため、複数のクラス合同で行っていました。そのため、先生一人あたりの持ちコマも中学より少なくなるため、先生自身の音楽の技術を磨く時間も増えると思います。
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もちろん、中学と同じく指導するスキルは高校でも求められますが、教える内容や生徒の意欲度の観点から、音楽家タイプの音楽大学出身者が、高校の音楽の先生になる傾向があります。
教員採用試験での実技試験の内容
音楽の先生になるためには、大学で教員免許を取得した後に教員採用試験に合格する必要があります。
音楽・美術・保健体育など、スキルを要される科目の場合は、二次試験で実技試験が行われます。
筆記・実技・面接・適性試験を行い、総合的に合否は決まりますので、実技試験以外にも対策がもちろん必要です。
実際の実技試験の内容は自治体によって異なりますので一概には言えませんが、一般的に音楽教員の実技試験は、以下の内容で行われることが多いです。
- ソナチネ・ブルグミュラーなど(指定された1曲)
- 弾き歌い(課題曲から1曲)
弾き歌いの場合、音楽の教科書に載っている曲だけでなく、「どんぐりころころ」「こいのぼり」など、比較的簡単な童謡も、課題曲に多くリストアップされています。
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年度や自治体によって内容は変わりますので、必ず事前に試験要項を確認するようにしましょう。
基礎さえ身につければ合格できる
上記の課題曲を見て、多くの受験生はこう思います。
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見栄などはらずに、簡単な童謡を選べばいいじゃん!
はい、これで正解です。見栄などはらず、100点満点を目指さなくても良いのです。
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資格試験で60点以上合格であれば、60点取っちゃえば100点と同じ扱いという考え方と同じです。
なぜ、このような簡単な曲でも課題曲に設定しているのかは、実技試験で重視するポイントで分かります。
- 生徒のお手本になれる、基礎が身についているか
- 高度な技術や表現力などは、先生に求めていない
先生である以上、生徒のお手本となる演奏ができるかが最重視されます。
つまり、楽譜に示してある一つ一つの音楽記号をしっかりと理解し、最低限それを表現できるかなど、とにかく基礎に徹底した地味な演奏が求められるのです。
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コンサートの舞台に立つ音楽家は、技術はもちろん、自分自身の解釈によって観客を魅了する表現をしますが、音楽の先生にそのような姿勢は不要なのです。
そのため、音楽の先生はそもそもクオリティの高い独特の演奏スキルは不要であるため、ピアノのレベルは基礎さえ身についていれば十分。
コンサートで聴く音楽家と比較すると、レベルが低くても先生になることができるのです。
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音楽の先生になるためには、最低でも基礎レベルのピアノが弾けるようになる必要があります。
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まとめ
音楽の先生のピアノレベルについて解説してきました。
- 中学の音楽教諭は教育学部出身、高校の音楽教諭は音楽大学出身が多い傾向。
- 高校の音楽教諭は「音楽家>教育者」の意識になりやすいため、中学の音楽教諭よりピアノのレベルは高い傾向。
- 教員採用試験のピアノ実技の難易度は、中高ともに「基礎>技術」を重視するため難しくない。
- 中高ともに簡単な曲でも合格できるため、基礎さえ身につければ音楽の先生になれる。
音楽の先生はピアノの技術や表現力など、コンサートで聴くようなピアニスト並みの高い技術はそもそも要求されていません。
先生としてある以上、生徒のお手本になれる基礎力さえ習得できていれば、たとえ技術のレベルが低くても先生になることができます。
何より、先生に一番求められることは生徒の教育ですので、指導力や生徒とのコミュニーケーション力など、ピアノのレベルだけでなく、そちらについても重視していきましょう。
音大入学に必要なピアノのレベルはコチラの記事で解説しています。
グランドピアノが必要なレベルについては、コチラの記事で解説しています。